Jersey War Tunnels(ジャージー旅行記)

Jersey War Tunnelsはジャージー島がドイツ軍に占領されていた時代の地下病院German Underground Hospitalのあった場所。もっとも、使用されることはなかったそうだが。病院の跡としても見られるが、ジャージの占領から開放までの克明なすばらしい展示がある。場所はジャージー島のほぼ真ん中あたり。バスの8番または28番で行くことになる。

 2005年に行った際には、St. Helierバスステーションを9:55発のLink55でJersey War Tunnelsへ。入場料は8.60ポンド。そのほかに公式ガイドブックを購入(3.50ポンド)。入場券は、なんとドイツが発行した当時のジャージー国民の写真つきIDカード。すごいものを入場券にしますね。それも一人のではなく、入場券一枚一枚違う人のもの。個人情報保護の面では心配だけどインパクトが大きい。トンネルの入り口は入場券売り場より手前になるし、中でチェックはされなかったので誰かごまかして入るのがいないんだろうか?入場券売り場の建物のところをふと見ると、「このトンネル内は気温が10〜13度で一定なので寒いので、真夏でも温かい格好をして入れ」と書かれている。親方はたまたま万が一のことを考えてレインコートを持っていたので、それまでのTシャツの上にそれを着たが、それでも寒かった。これは要注意。

 ジャージの占領から開放までの克明な展示がすばらしい。見せ方も大変よく、たとえば、英国が戦略的な位置づけの低さから戦う前にジャージーから撤退することを決めた際に、国民は島を離れるのか、残るのかを即座に選択しなければならなかった。その選択されたその後の生活例をパネルの裏表に展示して、どちらの選択をしても困難が待ち受けていたことなどを説明していた。英語の説明文を読むのが遅いのもあるが、通常で1.5〜2時間程度かかるというのに、全部見るのに3時間半ほど見るのにかかる。感情的でなく、歴史の事実としてきちんと記録し、展示していた。ドイツ軍が良い悪いではない。島に残った方が良かった、良くなかったではない。ドイツ兵に近寄る若い女性がいたことが良いことか悪いことかなんて、一方的な価値観を強制しない。そういうものを超越して事実を積み上げることによって戦争の悲惨さを明確に示す展示であると思う。匿名の密告手紙など、よくこんなものまで残してあるなあと感心する。ジャージーは戦略的重要性も低く、占領の際にも開放の際にも武力衝突はなかった。食料も比較的自給していた島だったし、食糧不足と言っても第二次大戦下のほかの国に比べて特に悲劇的には思えない。それでもこの展示には大いに感銘を受けた。日本も戦争に関してこういう展示をしてほしいと思う。そうでないからいまだに戦争を賛美するような輩が出てくるのではないかと思った。

 1時半過ぎに見終わり、震えながらトンネルを出て、入場券売り場の二階のCafeで昼食。Cafeの壁にはいろいろな個人のその後の状況の記録があり、親方の入場券の人のも探したが見つからず。1階のみやげ物売り場も見るが、特にほしいものはない。

入り口
入り口

トンネル内の通路
トンネル内の通路

手術室の展示
手術室の展示。病院としての展示はこのくらいでほとんどない。ここも部屋の外から眺めるのみ。

掘削途中のトンネル跡
掘削途中のトンネル跡。まだこの病院が完成前であったことがわかる。
 


 2018年に再訪。展示は前回とは見せ方が変わっている。いろいろな言語の音声ガイドが借りられるようになったが、結論としては音声ガイドはいらなかったと思う。意外と音声ガイドは短く、大したことは言わないのに対して、展示の文字情報が相当に充実していたのだから。F氏によればトンネルの展示の順番も前と変わったとのことだが、親方はそこまで覚えていない。しかし内容やプレゼンの仕方は変わっている。特に映像を多用するようになった。
 War Tunnelsに着いたのは11時10分ごろ。本当はトンネルの隣にあるショップやカフェのある建物でトイレに行ってからトンネルに入るべきでした。トンネルの中にもトイレがあるだろうと思ってましたが、なかったのね。入場料と英語のガイド音声を借りて入場。相変わらず客観的・冷静に展示がされており、あなたがその状況だったらどうしますか、と考えさせるのはすばらしい。丁寧に説明も読んでいたので、結局2時間45分かけてすべての展示を見る。
 隣の建物でトイレに行ってからカフェでお昼。二人でクランベリーとベーコンのパニーニ、ハロウミチーズとほうれん草のパニーニ、それにビール。おいしかった。ショップを見るが、特に買いたいものもなく、バス停から15:15のバスに乗ってバスステーションに戻る。

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